果敢な挑戦で一歩踏み出した デザインめぐるEUのプロジェクト  (1/3ページ)

旧い工場を利用したレストランで開催されたEUのデザインセミナー
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【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 EUのプロジェクトとして、2016年からスタートしたデザインコースがある。地方の中小企業や行政がイノベーションをおこすための術として、デザインの考え方を普及させるのが狙いだ。

 この2年間、EU加盟国すべてと圏外の一部の国々でセミナーが実施され、7月19日・21日、ミラノで最終回が特別篇として開催された。欧州各国のみならず、南米・アフリカ・中央アジア・中国からも来ておよそ40人が参加した。

 ぼくは2016年夏にミラノで実施されたセミナーも見学し、EUのイノベーション政策とこのセミナーの概要を拙著『デザインの次に来るもの』で紹介した。

 その頃、プログラムの企画・実施に携わったミラノ工科大学の先生から、「当初、我々の企画案をブリュッセルの官僚に見せたところ、『これではレベルが高すぎるから、もっと初歩レベルに落として欲しい』と言われ、プログラムを簡単なものにするしかなかったのが残念だ」との愚痴を聞いた。

 「欧州はデザイン理解のレベルが高い」というのは、一部の国の一部の企業にあてはまることで、すべての国のすべてのレベルの現実はそうではない。殊に、本プロジェクトの対象になる地方の中小企業や行政機関において、デザインは遠い存在である。

 本プログラムの企画・運営に携わってきたミラノ工科大学で統合プロダクトデザインを教えるアリアンナ・ヴィニャティさんに「2年間の活動で何が分かったか?」と質問すると、次の答えが返ってきた。

 「プログラム準備中に『レベルを下げろ』と言われたアドバイスは正しかった」

未開拓地に効率的にデザインを持ち込む