【ビジネス解読】「GDPって何?」(下)なかなか増えないGDP、どうすれば増えるのか (3/3ページ)

  • マツダの防府工場=山口県防府市

 --ところでGDPを計算する仕事に繁忙期というのはあるんですか

 「各省庁がいろんな統計の数値を発表してから、われわれがGDPを発表するまでの間は短いですから、その間はやはり忙しいです。データの入力といった作業は自動化されていますが、GDPの増減の要因の分析や、普段と大きく違う異質な数字があれば元データに間違いがあるのかどうかをチェックしたりと大変ですね」

 --計算結果は前日のうちには分かっていると思うのですが、それを他の人に教えたりはしないんですか。例えば、日銀の金融政策決定会合があれば、ちょっと日銀総裁に数字を教えてあげるとか

 「そういうことは絶対にしません。特別扱いを認めれば、他にも漏れる危険性が高まります。大臣に報告するのも発表直前の当日朝ですよ」

 《高山さんによると、GDPを増やすためには決定的な方法があるわけではなく、政府としては個人の消費や企業活動を促すような政策を地道に積み重ねていくしかないとのこと。個人にできることがあるとすればギョーザをたくさん食べるぐらいのことかもしれないけど、そのためには効率的に働いてたくさんお金を稼がねばならない。こちらもなかなか大変だ》(小雲規生)

 ■国内総生産(GDP) 国内で一定期間につくられたモノやサービスの付加価値の合計額。国の経済規模や景気動向を把握する上で最も重要な指標とされ、増減率が「経済成長率」と呼ばれる。個人消費や企業の設備投資、公共投資などの内需と、輸出から輸入を差し引いた外需で構成される。物価変動の影響を除いた実質値と、そのまま計算する名目値がある。

 速報値発表から約1カ月後に、法人企業統計の結果などを反映させて改定値が発表される。主に企業の設備投資や公共投資が見直され、全体の数値も修正される。

■(上)どうやって計算しているのだろう を読む