3日に公表された2018年度の経済財政白書は、景気の現状を戦後最長の「いざなみ景気」と比較し、デフレではない状況下で企業収益が幅広く改善する「バランスのとれたもの」と評価するなど「アベノミクス」の実績を強調する色合いの強いものとなった。今後も景気拡大を続けるには人工知能(AI)やビッグデータなどを活用した生産性革命が必須。最先端技術を使いこなせる人材の育成が鍵を握る。
「現在、景気回復は戦後最長が視野に入り、第4次産業革命がもたらす技術革新によって、われわれの生活や経済社会が画期的に変わる時代に入っている」
茂木敏充経済再生担当相は同日の記者会見で、日本経済が転換点にあると指摘。「最大の課題はサプライサイド(供給側)の改革を通じて潜在成長率を引き上げることだ」とも述べ、AIを活用できるIT人材を育成して生産性を向上させるなど、商品やサービスを生み出す「供給力」アップの重要性を訴えた。
白書によると、就業者に占めるIT人材の割合について、日本は1.8%にとどまり、英国の5.2%や米国の3.0%など欧米各国よりも低い水準にある。IT分野は技術革新が速く、大学などで社会人らの「学び直し」の機会を設けることがより重要になる。