「人手不足深刻で必要」×「経済安定化に逆行」 外国人労働者受け入れ、推進派・慎重派に聞く (4/4ページ)

施光恒・九州大院准教授(左)と毛受敏浩・日本国際交流センター執行理事
施光恒・九州大院准教授(左)と毛受敏浩・日本国際交流センター執行理事【拡大】

 --政府は「移民政策ではない」としている

 「欧州も最初は外国人労働者を期間限定で受け入れて、期間が終わったら帰ってもらうつもりだったが、そうはいかなかった。子供ができたり、家族を呼び寄せたり、不法滞在も増えてくるとなかなか難しくなる。移民をめぐる論争で国民世論が分断され、そして『排外主義だ』『人種差別だ』といわれるのを恐れて移民反対といえなくなる。坂を滑り落ちるように、誰が移民国家化すると決めたわけでもないのに国の性格が変わってきてしまった。日本もそうなることを懸念している。政府は正面から議論すべきだ」

 --外国人労働者の受け入れ拡大に頼らず人手不足をどう補うか

 「一つは技術革新。AIだとか、あまり人手がいらないようにする技術革新に投資をすべきだ。もう一つは賃金を引き上げる。それでも人が足りないのなら、貧しくなりましょうよとしか言いようがない。一つくらいそういう政党があってもいい」

 --ダイバーシティー(多様性)の推進につながるとの意見もある

 「外国人労働者の受け入れ反対について、批判を受けるのを恐れる人が多くて公言しにくくなっているが、賛成の方が人道的かつリベラルだというのはおかしな話だ。政府に求められるのは、単純労働者の送り出し国をつくらないよう、国際援助を通じて公正な世界秩序をつくるために努力することではないか」(桑原雄尚)

 【プロフィル】〈せ・てるひさ〉昭和46年、福岡市生まれ。慶大院法学研究科博士課程修了。法学博士。平成19年から九州大院比較文化研究院准教授。政治理論など専攻。近著に「本当に日本人は流されやすいのか」(角川新書)。