4兆元投資、米との貿易摩擦遠因 東京財団政策研究所の柯隆氏に聞く (1/2ページ)

 --リーマン・ショック後に中国経済は急成長を遂げた

 「リーマン・ショックが起きた同時期に、偶然だが中国では2008年に北京五輪、10年に上海万博が開催され、高度経済成長の絶頂期へ向かった。さらに、08年11月に胡錦濤・前国家主席が4兆元(当時のレートで57兆円)の景気刺激策を打ち出し、世界経済の回復を中国が牽引(けんいん)した。中国はこれで自信を深めた」

東京財団政策研究所の柯隆(か・りゅう)主席研究員インタビュー=7日午後、東京都港区六本木(斎藤良雄撮影)

東京財団政策研究所の柯隆(か・りゅう)主席研究員インタビュー=7日午後、東京都港区六本木(斎藤良雄撮影)

 --世界経済における中国の存在感が一気に増した

 「世界から注目される存在になったメリットはあったが、4兆元の景気刺激策の大半が中国の国有企業に流れ込み、鉄鋼などの過剰生産をもたらした。その結果、米国などへのダンピング(不当廉売)輸出が横行し、米国の対中国の貿易赤字が拡大したことで、米中貿易摩擦の遠因となった」

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