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米メディア、紙への高関税に悲鳴 トランプ氏との対立、貿易政策でも (2/3ページ)

 「多くの記者がいる首都ワシントンでは、問題ではないのかもしれない。だが、米国内の多くの都市や町は地方紙が報じないかぎり、ニュースが決して表沙汰にならない可能性がでてくる」とタッシュ氏は語気を強め、関税の見直しを訴えた。

 ここ数年来、インターネットの普及などで広告収入が激減したため、もともと資金力の弱かった米地方紙の経営は悪化。今回、人件費の次にコストがかかるとされる新聞印刷用紙の高騰に見舞われ、「ダブルパンチ」の打撃となっているのだ。米紙の報道ぶりも、関税措置により、「地方紙の絶滅が早まる」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「米新聞社が死に近づいていく」(ワシントン・ポスト紙)と悲壮感が漂う。

 関税措置は、西部ワシントン州にある米製紙会社、ノース・パシフィック・ペーパーが発端。同社は昨年夏、カナダの製紙会社がカナダ政府から補助金を受け、米国市場で不当に優位に立っていると問題提起した。

 これを受け、米商務省は今年1月、カナダ産の紙に対して関税を暫定的に導入することを決定。また3月には一部で不当に安い価格で販売するダンピングがあったとし、最大で32%の制裁関税を課した。ダンピングなど不法行為を調査する米国際貿易委員会が9月中に最終的な関税措置の取り扱いを決定するが、先行きは見通せない。

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