栃木の新しい酒米 新品種「夢ささら」初収穫

滝田稔さんの運転するコンバインで刈り取られる酒造好適米の新品種「夢ささら」=28日、栃木県大田原市佐久山(伊沢利幸撮影)
滝田稔さんの運転するコンバインで刈り取られる酒造好適米の新品種「夢ささら」=28日、栃木県大田原市佐久山(伊沢利幸撮影)【拡大】

 栃木県が開発し、新たに品種登録した酒造好適米「夢ささら」が28日、同県大田原市佐久山の田んぼで初めて収穫された。栽培したのは同市の農業、滝田稔さん(71)。約20年前から酒造好適米を契約栽培する滝田さんは今年、1ヘクタールの田んぼで新品種栽培に取り組んだ。

 県が平成17年から開発を進めてきた「夢ささら」は倒れにくく、病気に強い特徴がある。玄米の中心にある「心白(しんぱく)」がはっきりしていて玄米を削る際に砕けにくく、大吟醸酒に向いているとされる。県農業試験場で人工交配を重ね、県内の栽培に適した品種となった。

 この日はJA関係者や県酒造組合の菊地正幸会長らが訪れ、刈り取り作業を見守った。滝田さんは「思ったような稲に育った。収量をみながら課題に向かい、これからの作付けを考えたい」と手応えを示し、菊地会長は「県産酒造好適米は13年ぶりの品種登録。良質の酒米が収穫され、今度は蔵元が良い酒を造る番」と気合を入れた。

 県酒造組合の蔵元33社のうち27社が「夢ささら」による新酒開発に挑む予定。