中東欧の石油各社が多角化を加速 (1/3ページ)

ロイヤル・ダッチ・シェルが最近オープンしたガソリンスタンドでは、「デリ・バイ・シェル」のカフェメニューを提供している(ブルームバーグ)
ロイヤル・ダッチ・シェルが最近オープンしたガソリンスタンドでは、「デリ・バイ・シェル」のカフェメニューを提供している(ブルームバーグ)【拡大】

 中欧の石油会社が、事業を多角化して燃料以外の価値を顧客に提供する戦略を進めている。

 電気自動車(EV)の普及や各国政府による大気汚染規制の厳格化を背景に、ガソリンやディーゼル燃料に対する長期需要は見通しが不透明だ。そうした中、ハンガリーのMOLや近隣のライバルであるポーランドのPKNオーレン、セルビア石油産業(NIS)などは生き残り策を模索している。

 エアステ・グループのアナリストで、東欧の石油会社12社を調査するタマス・プレスター氏は「旅行市場が活発になり、高所得層が『非燃料』サービスの需要を押し上げていることを受け、中東欧の石油会社で小売り事業への投資が流行している」と話す。

小売り事業で火花

 欧州ではBP、トタル、ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界的な石油大手が、給油所をコンビニエンスストアに変えて営業している例が多く見られる。しかしこれらの企業は、匠の技で淹れたコーヒー、全粒粉ラップサンドイッチ、デザイナーとタイアップしたウオーターボトルなどを提供するライバルとの競争にさらされている。

 ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、サリフ・イルマーズ氏によると、小売り事業に力を入れるという点で先頭を走るのはMOLだ。同社は多角化のための投資の一環で、2021年にかけて化学、石油化学分野に19億ドル(約2130億6600万円)を支出する計画だが、30年までに消費者向けサービスがEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)に占める割合を30%に増やしたい考えだ。

 MOLは、共産主義時代のハンガリーでの独占的地位を基盤に、黒海からアドリア海まで勢力を拡大してきた。最近では14年に、伊エニからチェコにあるアジップブランドのガソリンスタンド125カ所を買収し、同国第2位のガソリンスタンド事業者になった。MOLはその後、買収したガソリンスタンドの改築、店舗エリアの改装、ポイントプログラムの導入などを進めている。

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