「人づくり革命」限界も 政府、新たな在留資格創設


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 政府は、人口減少を背景とした人手不足の問題を最重要課題として位置づけ、「1億総活躍社会の実現」「働き方改革」「人づくり革命」と、相次いで政策パッケージを打ち出している。ただ、いずれも人手不足解消には限界があり、ここに来て政府は外国人労働者の受け入れ拡大にまで踏み込み始めた。

 政府の最新の政策パッケージが、今年6月に人生100年時代構想会議が取りまとめた「人づくり革命」の基本構想だ。人口減の中、限られた人材をフル活用するため、人材への積極投資を掲げる。

 具体的には、大学など高等教育の無償化で、低所得世帯を対象に授業料の減免や返済不要の給付型奨学金の支給を実施するほか、認可外保育施設も含む幼児教育の無償化も実行。出産、子育てで職場を離れた女性の活用を視野に入れた「リカレント教育」(学び直し)に関しては、労働保険特別会計を活用した専門実践教育訓練給付の対象講座を大幅に拡大するとともに、一般教育訓練給付もキャリアアップ効果の高い講座の給付率を引き上げる。

 基本構想には高齢者雇用の促進も盛り込んでおり、未来投資会議で来年夏に向け、希望者に原則65歳まで義務化している高齢者の継続雇用年齢を延長することなどを検討する方針だ。

 一方で、若者や女性、高齢者らに投資をして積極活用を進めても、日本の人口全体が減少する中では限界もある。政府は、今年に入り、外国人労働者の受け入れ拡大にかじを切り、6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」に、実質的に単純労働分野での就労を認める新たな在留資格の創設を明記した。

 今月12日の関係閣僚会議では、法務省が入管難民法などの改正案骨子を提示。24日にも召集される臨時国会で改正案が審議される見通しだ。(桑原雄尚)