【高論卓説】日米から学んだ中国の競争力 皮肉にも科学交流は貿易戦争の要因に (1/3ページ)

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 「紙・印刷・火薬・羅針盤」は古代中国の四大発明として有名であるが、現代中国の「新四大発明」は「高速鉄道・モバイル決済・シェア自転車・ネット通販」とのことだ。中国の新四大発明の一つである「高速鉄道」が発明される以前の1978年10月に、日本の新幹線に乗って東京から関西に移動したのがトウ小平氏である。トウ氏が新幹線に乗った感想を聞かれて、「速い。追いかけられて走っている気がする」と答えたのは有名な話である。(旭リサーチセンター、遼寧中旭智業研究員・森山博之)

 今年はちょうど日中平和友好条約締結40周年に当たる。トウ氏は78年10月23日の平和条約の批准書交換式典への出席に合わせて来日し、新幹線に乗った。トウ氏は来日の目的を3つ挙げている。「批准書交換」「日中関係改善に貢献した日本の友人に感謝の意を表明」「徐福のように不老不死の“秘薬”を探す」の3つで、秘薬とは中国が近代化を達成するための秘薬を意味し、先進技術と経営管理を日本から学びたいとしていた。

 「改革開放」の骨格が決まった同年11月の党中央工作会議の前にトウ小平氏は来日しており、日本での体験が大いに参考になったはずだ。中国は12月の中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議で市場原理の導入にかじを切り、工業、農業、国防、科学技術の4つの近代化を進めることになる。

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