【データで読む】韓国、急激な最低賃金引き上げで経済下押し

韓国の文在寅大統領(ブルームバーグ)
韓国の文在寅大統領(ブルームバーグ)【拡大】

 2017年5月に格差是正を公約に掲げて発足した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、22年までに公共部門を中心とした81万人分の雇用を創出するほか、最低賃金を20年までに時給1万ウォン(東京都の18年の最低賃金985円とほぼ同額)に引き上げるなどの政策に取り組んできた。

 最低賃金については、18年に16.4%、19年も10.9%の引き上げを既に決定しているが、2年間で30%近い急激な引き上げの副作用が見られ始めている。所得格差を高所得世帯の低所得世帯の所得に対する倍率で見ると、これまでほぼ横ばいとなっていたが、18年に入って急激に拡大した。

 最低賃金引き上げは企業にとって人件費負担の増加となるため、中小・零細企業を中心に雇用削減の動きが広がり、低所得世帯の所得が減少したことが原因である。格差是正のための最低賃金引き上げが、逆に格差を拡大させたと指摘されている。

 最低賃金1万ウォンの公約を実現するには、最終年の20年に20%もの賃金引き上げが必要となり、既に文大統領は達成時期を撤回し、早期達成を目指すとした。しかし、近年の韓国経済は、重工長大産業の構造調整や家計債務の増大が課題となっており、ここに格差拡大が加わって消費者心理は悪化し、経済下押しが懸念され始めている。格差縮小には、所得主導型の政策から、競争力の強化など産業政策型への抜本的な政策転換が必要との声も出てきている。(編集協力=日本政策投資銀行)