貿易戦争「和平」は遠く 米中首脳、合意できて「一時停戦」止まり

北京の人民大会堂で行われた歓迎式典中に話すトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=2017年11月9日(ブルームバーグ)
北京の人民大会堂で行われた歓迎式典中に話すトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席=2017年11月9日(ブルームバーグ)【拡大】

 トランプ米大統領は中国との貿易関係を一新したいという理想と、妥協を探りたいというビジネスマンとしての直感との間で葛藤しているようだ。株式相場が大荒れした10月が終わって、中間選挙を目前に控えた現在、大統領はディールメーカーとしての姿勢を強めている。

控える困難な交渉

 トランプ大統領は2日、記者団に対し、「中国とのディールを成立させる。誰にとっても非常に公正な取引になると思う。(両国が)何かをしようとしてずっと近づいている」と述べた。その前日には、今月末にアルゼンチンで開幕する20カ国・地域(G20)首脳会議の際に予定している中国の習近平国家主席との首脳会談に備え、貿易協議で想定される条件の草稿を作成するよう重要閣僚に指示していた。

 しかし、その「何か」が有意なものにならなければ、大統領自身の信条の信奉者や政権内の対中強硬派を納得させられないため、状況は単純には済まない恐れがある。ホワイトハウスの議論に詳しい複数のアナリストは米中首脳会談で何らかの合意がまとまったとしても、貿易戦争は「一時停戦」にとどまる公算が大きく、最終的な「和平」には至らないとみている。

 「停戦合意」は恐らく、高官レベルでの交渉が行われている間は新たな追加関税を発動しないという約束になると考えられており、これまで発動した関税の一部解除でも合意するかもしれないという。こうした合意が成立すれば、現在の文脈の下では重要な進展となり、市場から歓迎されるだろう。しかし、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が示唆するように、米中両国はその後、困難な交渉に挑むことになる。

米に大きな不満

 クドロー氏は2日、シカゴでの会議で、「米中首脳の間に善意や合意、少なくとも個人的な合意が取り結ばれれば、われわれはその後、前進を図って中国側と細部の交渉に取り組むだろう」と発言した。ただ、G20首脳会議での両首脳の会談がうまくいったとしても、「長く厳しいプロセスになるだろう」との考えを示した。

 また、クドロー氏は4日、FOXニュースの「サンデー・モーニング・フューチャーズ」で、トランプ大統領と前日に中国の経済悪化も含め同国の立場について「長く話し合い」、同国がディールを望んでいると大統領は考えていると語った。その上で、「彼らがわれわれの求めに応じるなら、大統領はそれが米国の利益である限り、ディールを結ぶことを検討するだろう」と話した。

 アナリストは米中の交渉が難しくなる理由について、米政府が中国に抱いている構造・経済上の不満が、他の貿易相手国に対するものよりもはるかに重大なためだと分析している。(ブルームバーグ Shawn Donnan)