増税など景気腰折れリスク山積 経済財政諮問会議

5日に開かれた経済財政諮問会議。今後は、米中貿易摩擦による世界経済の減速リスクも踏まえた議論が必要だ=首相官邸
5日に開かれた経済財政諮問会議。今後は、米中貿易摩擦による世界経済の減速リスクも踏まえた議論が必要だ=首相官邸【拡大】

  • 最低賃金の推移

 民間議員が12日の経済財政諮問会議で最低賃金の引き上げや政府主体の研究開発投資による“内需強化”を提言するのは、消費税増税や米中貿易摩擦による世界経済の減速リスクといった、日本の景気を腰折れさせかねない課題が山積しているからだ。こうした環境の下、デフレ脱却を確実にするには、適切な対策を油断なく打ち出し続けることが求められる。

 政府が12日開く経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)で、民間議員が、来年10月の消費税増税を念頭に最低賃金の引き上げを進めるよう提言することが8日、分かった。労働者の実質的な所得の減少を補い、需要への悪影響を防ぐ。また、米中貿易摩擦による世界経済の減速リスクも踏まえ、政府による研究開発投資を拡充し内需の構造を強化することも要求。これらを踏まえて、政府は必要な施策の検討に着手する。

 賃金の最低額を法的に定めた最低賃金の水準は毎夏、労使の代表が厚生労働省の審議会で議論し定めた目安を踏まえ、地方の審議会が地域ごとに決めている。安倍首相による2015年11月の引き上げへの言及後、最低賃金は上がり続けており、民間議員はこの流れを強化したい考えだ。

 一方、政府の研究開発投資も、基金化などで複数年度にわたり支出できるようにし、中長期的な観点から臨機応変に対策を取れるようにする。民間とも連携して先端技術を普及させ、企業の生産性向上に役立てたい考えだ。

 日本経済の喫緊の課題は、来年10月の消費税増税で生じる駆け込み需要と反動減をできるだけ平準化することだ。政府が検討するポイント還元策などに加え最低賃金を引き上げれば、消費意欲の底上げにつながる可能性がある。

 また、米中摩擦の悪影響には政府関係者の懸念も大きい。今月6日の米中間選挙で上院を共和党、下院を民主党が制する「ねじれ議会」となったが、今後もトランプ米大統領は保護主義姿勢を強化するとの見方が大勢だ。国際通貨基金(IMF)の試算によると、貿易摩擦の影響が広がり、国内総生産(GDP)が米国で0.9%以上、中国で1.6%以上縮小しうる。

 民間議員は、今年から来年にかけ日本の輸出や設備投資に悪影響が出る可能性もあるとみており、企業の生産性向上にバックアップが必要だと考えている。

 こうした対策には課題もある。最低賃金を引き上げるには企業の原資が必要だし、国の支出には財政の制約がある。課題を乗り越え成長軌道を保つため、政府は知恵を絞る必要がありそうだ。(山口暢彦)