中国ドローン大手DJI、緊張関係の米国で健闘

DJIのマービック2(ブルームバーグ)
DJIのマービック2(ブルームバーグ)【拡大】

 消費者向け小型無人機(ドローン)の販売世界最大手、SZ DJIテクノロジーが、顧客獲得に向けた取り組みにおいて2つの勝利を収めた。

 DJIによれば、同社の産業用最新モデル「マービック2」は間もなく米電力会社サザンの送電網調査に導入される予定で、アメリカン航空も航空機の検査に同モデルを利用することを検討している。米政府による締め出しや損害を与え得る特許訴訟、米関税の上昇といった問題に立ち向かう中国企業である同社にとっては、重要な提携となる。

 海外で大きく成長した数少ない中国テクノロジー大手の一社であるDJIにとって、プライバシーは特に厄介な問題だ。米中間の緊張の高まりを受け、無人航空機分野における中国企業の台頭に懸念が高まっている。米国土安全保障省と連邦航空局は10月、ドローンメーカーは配電網や重要インフラの機密映像を入手している可能性があると警告。米陸軍はDJIを含むドローンメーカーとの取引を一時的に禁止した。

 DJIの北米担当バイスプレジデント、マリオ・レベロ氏は、同社はこうした問題に取り組んでいると話し、「私たちは非常に張り切っており、何らかの公式発表が間もなくあると期待している。当社は安全保障上のあらゆるニーズに応えるため、解決策をカスタマイズした」と述べた。

 DJIは消費者向けドローンで約4分の3のシェアを誇るトップ企業だが、近年は取り締まりがまだかなり“緩い”市場に参入している。世界中の競合が10ドル(約1134円)の玩具から100ドル未満のカメラ付きモデルまで安価なドローンを武器に市場になだれ込む中、農業や調査に利用できる無人機を開発。1999ドルのマービック2はまさに、90億ドル規模とされるドローン市場の半分以上を占める分野を狙ったものだ。

 DJIは今年、同社のデータ収集や無人機に搭載されるカメラの顔認識能力に関し、サイバーセキュリティー会社のキブ・コンサルティングに報告書の作成を委託。ブルームバーグ・ニュースに提供された報告書の写しによれば、キブはDJIが大気中で取得した映像などのデータを米国内のサーバーに送っているだけだと結論付けた。

 もっとも、DJIは米国で特許訴訟を抱えており、米中間には貿易問題も横たわる。同社のドローンは関税対象リストに含まれていないが、プロペラなど部品の一部は対象だ。「(米中関係の変化による)影響は出ている。当社がコストを負担することもあれば、価格に転嫁することもあるだろう」とレベロ氏は述べた。(ブルームバーグ Mark Bergen、Gao Yuan)