【ワシントン=塩原永久】4日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米景気の先行き不安や、米中の貿易摩擦への懸念が再燃したことなどから急落し、前日比799・36ドル安の2万5027・07ドルで取引を終えた。1日の下げ幅としては過去4番目の大きさだった。ダウの下げ幅は一時820ドルに迫った。
前日に和らいだ米中貿易摩擦への警戒感が再燃。4日のダウ平均は、中国に対する関税強化を辞さないとしたトランプ米大統領のツイッターでの発言が伝わるなどして相場の重しとなり、建設機械のキャタピラーや航空機のボーイングなどが売り込まれた。
一方、米債券市場では、長期金利の指標とされる米10年債利回りが2・9%前後に低下。短期金利の指標である2年債の利回り2・8%前後に近づいたことで、債券市場が「景気減速の予兆」を織り込み始めたとの見方から売りが加速した。
期間の長い利回りが短い利回りを下回る「逆イールド」は2001年や07年の景気後退前に起きている。金利低下による収益環境の悪化を嫌気し、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株の下落が目立った。
ハイテク株主体のナスダック総合指数は283・08ポイント安の7158・43。
投資家の不安心理を示すとされる「恐怖指数(VIX)」は、不安が強まっている節目とされる20を上回って推移した。