「有人月探査」参加目指す 宇宙基本計画行程表を改訂

宇宙開発戦略本部会合で発言する安倍晋三首相(手前から2人目)=11日午前、首相官邸(春名中撮影)
宇宙開発戦略本部会合で発言する安倍晋三首相(手前から2人目)=11日午前、首相官邸(春名中撮影)【拡大】

 政府は11日、宇宙開発戦略本部(本部長・安倍晋三首相)の会合を首相官邸で開き、「宇宙基本計画」の工程表の改定を正式決定した。米国が主導して2020年代の実現を目指す有人の月探査計画「ゲートウェイ」構想への参加や、年末に閣議決定する新たな「防衛計画の大綱」を踏まえた国際協力の強化を柱に据えた。

 首相は会合で「わが国が強い分野で積極的な貢献ができるよう、関係国との調整を推進してほしい」と指示した。

 具体的には、人工衛星に衝突する可能性がある宇宙ゴミなどの動向を追う監視システム(SSA)の2023(平成35)年度からの運用開始を念頭に置いた米国、フランスとの協力強化や、月の着陸探査活動に関するインドなどとの技術協力を盛り込んだ。

 準天頂衛星システム「みちびき」と欧州衛星との相互運用の検討や、米国が開発している次世代の早期警戒衛星プログラムとの協力も進める。東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸にしたアジア太平洋地域での共同観測など、「自由で開かれたインド太平洋地域」構想の推進を宇宙分野でも拡充する。

 産業面では、海外や異分野からの人材確保を目指し、宇宙ビジネス専門の人材プラットフォームの運用を来年度から開始。宇宙ゴミ削減に向けた具体策を来年度前半までに決めるほか、人工衛星と衝突した際の政府補償制度の整備についても検討を進める。