EUがWTO改革案提示 紛争処理巡り、米は否定的

 世界貿易機関(WTO)が12日開いた一般理事会で、トランプ米政権が不満を示している紛争処理手続きに関し、欧州連合(EU)と中国、インドなどが改革案を提示した。紛争処理の「二審」に当たる上級委員会の定数増が柱。多くの国・地域が支持し、米も否定的ながら議論に参加するとしたため、今後非公式に協議することになった。

 WTO改革を巡っては、日米欧がルール違反には制裁を科すとした改革案を提示するなど議論が本格化。紛争処理手続きの改革は最大の焦点で、EU提案に対する米の出方が注目を集めていた。

 通商筋によると、EU代表は多角的貿易システム維持における紛争処理の果たす重要性を強調。上級委の判断に時間がかかりすぎることや、WTOルールにのっとった運営が行われていないとの米国の主張に対し、上級委の定員を現在の7から9に増員、任期も4年から6~8年に延長することなどを提案した。(共同)