対米摩擦で「青空防衛」に影 成長優先、汚染対策を緩和 (1/2ページ)

深刻な大気汚染でかすむ北京市の天安門=11月(共同)
深刻な大気汚染でかすむ北京市の天安門=11月(共同)【拡大】

 中国が大気汚染の改善に向けて導入していた工場の生産停止などの規制を緩和している。景気減速に加え米国との貿易摩擦も過熱する中、「青空」を取り戻すよりも成長を優先させた。ただ規制緩和の結果、11月は前年同月に比べて大気汚染が悪化。指導部が掲げる「質の高い発展」に暗雲が漂う。

 「有害濃霧が戻ってきた」。中国メディアは4日までに、11月の微小粒子状物質「PM2.5」の大気1立方メートル当たりの平均濃度が北京市で前年同月比54%増え、天津市などでも軒並み悪化したと伝えた。

 中国政府は9月、北京市、天津市、河北省の首都圏を中心とする地域の秋冬の大気汚染対策を公表。「一刀両断」と言われる工場生産の一斉停止措置を実施しない方針を示した。PM2.5濃度の引き下げ目標も昨年より大幅に緩めた。

 背景には、昨年工場生産の一斉停止や違反企業の取り締まりを徹底したところ、地方政府の域内総生産(GDP)に深刻な影響を及ぼしたことへの反省がある。汚染源となる石炭使用の規制により、小学校で暖房が使えずに児童が凍傷になるなど、市民生活への悪影響も反発を招いた。

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