NY配車運転手に最低賃金 全米初 新規定で年収6300ドル増も

 米ニューヨーク市で1日、ウーバーやリフトなど配車サービスの運転手に最低賃金を適用する条例が施行された。行政が配車サービス会社に賃金規定を適用するのは全米で初めてだ。

 新規定は先月、市議会のタクシー・リムジン委員会(TLC)で可決された。これにより運転手は手取りで17.22ドル(約1900円)以上の時給を得られるようになる。最低賃金の時給15ドルよりはやや高いが、運転手は自営業者であるため、実質的には最低賃金と同水準になるとみられている。配車サービスの運転手は現在、約85%が最低賃金を下回る時給しか稼いでいない。新規定により平均年収は6300ドル以上増える可能性がある。

 ウーバーの運転手は従来型の賃金労働者よりも柔軟な働き方ができる個人事業主、あるいは自由市場の厳しさに直接さらされる非力な労働者として、新たなタイプの米労働者の代名詞となっている。彼らの所得に最低賃金を設けることは、非正規雇用の世界に著しく欠如している一定の経済的安定をもたらすことにつながる。だが、ニューヨーク市は配車サービスの運転手数が全米最多である一方、いくつかの重要な点で例外的であり、TLCの規定が他都市に波及するかは不透明だ。

 ウーバーによれば、市場規模上位20都市で働く運転手の約80%は週の勤務時間が35時間未満で、同社運転手の半数以上は週15時間未満しか乗客を乗せていない。ニューヨーク市では運転手の約60%がフルタイム勤務だ。さらに、多くの他の大都市と違い、配車サービスの運転手は営業用自動車免許を持つ。このため、同市のTLCは配車サービスの規制に関し、より大きな力を有している。

 ニューヨーク市の運転手はまた、非常によく組織化されている。ニューヨーク・タクシー労働者連盟と、配車サービス運転手などで構成する「インディペンデント・ドライバーズ・ギルド(請負運転手組合)」の2団体はTLCに圧力をかけ、賃金規定の設定に一役買った。

 ウーバーとリフトはいずれも、運転手に生活賃金を支払うことには賛成だが、TLCの規定には反対だと述べた。両社は週を通じてではなく1回の乗車ごとに最低賃金を設ける方法は、会社側が運転手に提供しているボーナスなどの他の報奨金を無視したものだと主張。ウーバーの広報担当者は、TLCの行為は料金の上昇とマンハッタン以外でのサービス範囲の縮小を招くと予想した。リフトの広報担当者は「こうした規定はニューヨーク市民にとってサービスの後退を意味する。TLCには強く再考を要請する」と述べた。(ブルームバーグ Joshua Brustein)