香港版「大学は出たけれど」 家賃高騰、公営住宅入居申請が急増

香港の高層住宅群内を歩く女性(ブルームバーグ)
香港の高層住宅群内を歩く女性(ブルームバーグ)【拡大】

 家賃が成層圏に届くほどの高水準となっている香港で、公営住宅への入居を望む大学卒業者が急増している。

 香港当局がまとめた2018年3月までの1年間のデータによれば、公営賃貸住宅への入居申請者のうち30歳未満の半数近くが大卒者だった。6年前と比べほぼ倍の割合だ。

 公営住宅入居者を代表する組織、公屋聯会のアンソニー・チウ氏は「住宅価格の高騰で、以前なら公営住宅への入居申請など必要のなかった高等教育を受けた若者たちが社会のはしごを下りているようだ。懸念すべきことだ」と嘆く。

 世界的に金融緩和政策が長期化しオーストラリアのメルボルンからカナダのバンクーバーに至る世界各地の住宅価格が上昇、ミレニアル世代が住宅市場から締め出されている。だが世界で最も住宅が手に入りにくい香港はさらに極端で、工業用建造物に違法に住んだり、寮生活のような「共享居住」で住居スペースを共有したりする若者たちもいる。

 香港で公営賃貸住宅に住むには、申請者1人当たりの月収が1万1540香港ドル(約16万円)を超えないことが条件。公営住宅の平均家賃は17年時点で月額1880香港ドル。民間物件では、香港最貧地区の一つである深水●のカプセル型の睡眠スペースですら2000香港ドルだ。

 ホテル経営を学び大学を卒業したリー・インさん(22)は、失業中の父親と共に公営住宅が空くのを既に4年待っている。入居できるのはまだ2、3年先だろうと考えているが、公営住宅に入ったら家を買うために貯金するつもりだ。「家を持つのは難しい。月1万7000香港ドルほど稼ぎ公営住宅に住んでいても、頭金をためるのに7、8年は必要だ。民間の住宅を借りていたら、それも不可能だ」と話している。(ブルームバーグ Shawna Kwan)

●=土へんに歩の「、」を取る