異次元緩和、庶民に恩恵なく 「デフレマインド」克服は困難、日銀の目標道半ば (1/3ページ)

 それは歴史上最も過激な資金供給だ。日本経済をデフレから救い、成長を支援するため、日本銀行は量的・質的金融緩和策の下でこの5年半余りに400兆円近くを市場に供給した。ただ一般庶民にはその恩恵がほとんど行き渡っていないようだ。

日銀の金融政策決定会合後、記者会見に臨む黒田東彦総裁=2018年10月31日、東京都中央区(ブルームバーグ)

日銀の金融政策決定会合後、記者会見に臨む黒田東彦総裁=2018年10月31日、東京都中央区(ブルームバーグ)

 北は秋田県から南は沖縄県までの全国各地で、若い夫婦や町工場の経営者、タクシー運転手らを対象に行った20件余りのインタビューを通じて、厳しい現実が浮かび上がった。安倍晋三首相の経済再生計画であるアベノミクスの中核を成す異次元金融緩和策は、日銀の黒田東彦総裁が実現を任された、流れを変え得るゲームチェンジャーにはなっていない。

 アベノミクスに不満

 日銀が異次元緩和策を導入して以降、確かに日本の経済成長率は年率でプラス約1.2%と潜在成長率を上回る伸びを示している。為替市場では円相場が対ドルで大きく下落し、円安を追い風にトヨタ自動車の利益は過去最高水準に達した。日経平均も約27年ぶり高値を回復した。

 ただ、インフレ調整後の所得は年間0.7%減少。人口の高齢化や減少による経済の先行き不透明感を一因とする日本人の「デフレマインド」を克服するのは極めて難しい。市場の関心は金融緩和の出口策に向かっているが、日銀が目指す物価安定目標2%の達成はまだ道半ばだ。

「アベノミクスから得たものは何もない」