「人工流れ星」で宇宙ビジネス 18日に衛星打ち上げ (1/2ページ)

人工流れ星の想像図(ALE提供)
人工流れ星の想像図(ALE提供)【拡大】

 ご希望の日時にお望みの場所で流れ星を-。こんな風変わりなビジネスに花を咲かせようと、ベンチャー企業が開発した「人工流れ星衛星」が18日、小型ロケット「イプシロン」で打ち上げられる。人工の流れ星を降らせる世界初の試みで、来年春に国内で観察イベントを開催する計画だ。

 流れ星(流星)は夜空に点状の光が現れ、一瞬で移動し消える自然現象。正体は宇宙空間を漂う直径1ミリから数センチ程度の流星物質と呼ばれるちりが、地球の大気に飛び込んで高温になり気化し、その成分が発光するものだ。

 流星物質の多くは、彗星(すいせい)が通り道に残していったちりだ。太陽の周りを公転する地球がそこを通る際、短時間に多数の流れ星が生じる「流星群」となる。毎年8月のペルセウス座流星群、11月のしし座流星群などが有名だ。

 多数とはいえ流星群は年により、ピーク時でも1時間にわずか数個のことがある。昔から「流れ星が現れている間に願い事を3回唱えると、かなう」といわれるが、願い事をするには夜空を注意深く見続ける忍耐力が必要なのだ。

 ところが、そんな願い事が簡単にできそうなのが「人工流れ星」だ。計画しているのはベンチャー企業「ALE(エール)」(東京)。高度約400キロを周回する衛星から直径1センチの流星物質を放出し、自然の流れ星と同様に大気に突入して光らせ、観察して楽しむ企画だ。

「子供の誕生日祝いに」と中東が関心

 人工流れ星衛星は18日午前9時50分過ぎ、鹿児島県肝付(きもつき)町の内之浦宇宙空間観測所からイプシロン4号機で打ち上げられる。東北大や首都大学東京、神奈川工科大、日本大の研究者が技術面で協力しており、ほぼ同じ仕様の衛星をもう1基、別の機会に打ち上げる。

 2つの衛星のどちらかを使って来年春、初の観察イベントを開催する。オーストラリア上空で流星物質を放出し、これが15分後、日本の上空約60~80キロにさしかかったときに発光する段取りだ。広島県の瀬戸内地域の直径約200キロの範囲で観察できそうだという。その後も各地でイベントを開催し、衛星の寿命が来る1年後までに搭載した流星物質を使い切る。

続きを読む