リスク克服へ新メンバーで議論てこ入れ 経済財政諮問会議

首相官邸で開かれた経済財政諮問会議=18日午前
首相官邸で開かれた経済財政諮問会議=18日午前【拡大】

 18日の経済財政諮問会議で、新メンバーを加えた民間議員は、デジタル化で社会変革を図る「ソサエティー5・0」や「全世代型社会保障」を着実に実現させるため、大胆な取り組みを促す「骨太方針」を策定すべきだと提言した。今年の国内外の経済情勢は消費税増税や米中貿易摩擦などのリスクをはらんでおり、民間議員は、経済成長と格差是正を同時に実現しながら、ショックに強い市場経済をいかに構築するかがポイントだとも訴えている。

 民間議員の提言では、今後の具体的な検討課題として、行政の生産性向上に向けたデジタル政府の実現や生産年齢人口の定義の見直しなどを列挙。社会保障の給付と負担の見直しに向けては、政府が進める病気・介護予防や高齢者らの雇用改革について、経済財政に与える効果の分析を行うことも求めた。

 背景には、今年の後半にかけて、さまざまな経済的なリスクが予想されていることがある。日本経済は今月にも戦後最長の景気拡大局面を達成するとみられているが、景気を下支えしている海外経済には米中貿易摩擦の激化や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱といったマイナス要因が山積。10月の消費税増税も、大型対策を取ってはいるものの反動減は避けられず、これらの国内外のリスクを乗り越える政策対応が必要になる。

 諮問会議の民間議員に、国際経済の専門家である竹森俊平慶応大教授、雇用問題に造詣が深い柳川範之東大大学院教授が選ばれたのも、こうした分野での議論のてこ入れを期待しているからだ。茂木敏充経済再生担当相は18日の記者会見で、新体制の諮問会議について「新メンバーの下で(経済財政運営の)司令塔としての機能をしっかり果たしたい」と強調した。(桑原雄尚)