アプリ削除できずに利用者不満 サムスン製スマートフォン

サムスン電子のスマートフォン(ブルームバーグ)
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 米国の写真家、ニック・ウィンカ氏は、気になる情報についてインターネット上で複数の掲示板に目を通した。一部のサムスン電子製スマートフォンではフェイスブック(FB)のアプリを削除できないというのだ。

 ウィンカ氏が購入したのは、サムスン製のアンドロイド搭載スマホ「ギャラクシーS8」。2017年発売の同機種にはFBのアプリがプリインストールされ、同氏はこのアプリで旧友と連絡を取ったり、自然の風景やペットの猫の写真を共有したりしていた。

 しかしFBに縛られたくはないと考え、スマホからアプリを削除しようとしたが、うまくいかない。表示されるのは「無効」というボタンだけだった。

 ウィンカ氏は「完全削除したいのに端末の中に残っているのは気持ちが悪かった。自分の情報や現在地が追跡される可能性があるのかと疑問がわいた。消費者は自分の買った商品で何をしたいか、何をしたくないかについて発言権を持つべきだ」と述べた。

 FBが一部企業に利用者情報へのアクセスを認めていたことなどを受け、消費者はデジタルの権利についてより敏感になっている。そして多くのアンドロイド端末利用者が、サムスンの手法を疑問視し、一部はソーシャルメディアで不満を表明している。

 インド在住のゴピナス・パンダライ氏はツイッターで、「卑怯(ひきょう)なやり方だ。10年間サムスンを使ってきたが変えるときが来た」と述べた。ジャスティン・マクマリー氏はツイッターで、「削除できないなら私の使うサムスン製品はこれが最後になるだろう」と書いた。

 FBの広報担当者によれば、無効化されたアプリの動作は削除した場合とほぼ同じで、データ収集は行わない。同社はスマホメーカーなどと各種契約を結んでおり、アプリのアンインストールの可否はそれらに基づいて決まる。同社は契約の金銭的内容を開示していないが、目的は、消費者がスマホを使い始めた瞬間から「最高」の体験ができるようにすることだという。

 FBはアプリを搭載するメーカーを開示していないため、消費者はカスタマーサービスに問い合わせない限り事前に把握することはできない。

 センター・フォー・デジタル・デモクラシーのエグゼクティブ・ディレクター、ジェフ・チェスター氏によると、消費者擁護団体は以前からこのような仕組みに疑問を呈してきた。同氏は「消費者は最近になって、これらのアプリにポケットの中でスパイ活動をする力があることを理解するようになった。企業はこうした契約を公開文書として提示すべきだ」と述べた。(ブルームバーグ Sarah Frier)