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中国、対米経済戦争は持久戦の構え (1/2ページ)

 北京で中国外務省や大学、シンクタンクの研究者などと懇談する機会があった。もちろん話題の中心は「米中経済戦争」だったが、ともかく中国側は正面衝突をさけ、譲れるものは譲っていくとの姿勢がはっきりしていた。あと10年間なんとか我慢すれば、中国の国内総生産(GDP)は米国の130%に達し、米国も中国の存在を認めざるを得なくなる、との言葉が印象的だった。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 ある研究者は、これまでの米中両国は「競争もあれば、協調もある」という関係で、その割合は五分五分だったが、いまや競争が7割になってしまった、と語った。新冷戦に突入し、台湾や南シナ海で、軍事衝突の危険性もはらんでいるという。

 だが、米国が中国を押さえ込むことができると思っているのは誤りだと指摘する。なぜなら中国のGDPはいまや米国の3分の2の規模に達している。しかも一部の経済指標では米国を上回っているとして、「GDPは購買力平価(PPP)で計算すれば、米国の120%。同様に製造業生産力は120%、電力使用は170%に達している」などの例を挙げた。このほか、軍事面で見ても、米国に圧倒されることはなくなったと強調した。

 これまで米国は旧ソ連や日本などが追いつこうとするのを振り払ってきたが、これらの国々は今の中国ほどの経済力が付いていなかった。中国を追い落とすことができる段階は、もはや過ぎてしまった、という認識である。

 中国としては当面、正面衝突を避けるというのが、一致した意見だった。ある研究者は「1000の理由があっても、米国との関係を悪くするつもりはない」と語った。既に党中央は「対抗と冷戦を回避し、順を追って開放し、国家の核心利益は譲らない」との21字方針を決めたと伝えられており、それが徹底しているのであろう。

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