バター輸入枠を5割増、マーガリンから切り替え進む


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 農林水産省は平成31年度のバターの輸入枠を今年度に比べて5割以上拡大する。業務用を中心にマーガリンからバターへの切り替えが進んでいることや、バターの原料となる生乳の生産量が減っているため。一方、農水省は国内での生産量を増やすための取り組みも進める考えだ。

 31年度のバターの輸入枠を前年度比53.8%増の2万トンに増やす。お菓子の生産などで風味の良いバターの国内需要が拡大していることや、相次ぐ酪農家の廃業で生乳の生産量の減少傾向が続いていることを受けた措置。また昨年9月の北海道地震で、一時的に生乳の流通量が落ちたことも影響した。

 酪農業では生乳の生産が需要より多くなりすぎた場合、バターなどの保存が利く乳製品への加工を増やす。このため国産バターなどは酪農業の需給調整弁としての役割を果たしているとされる。

 このため国は国産バターなどの市場を守るため、輸入量や価格水準を管理する「国家貿易」を実施してきた。海外では酪農国であるカナダなども同様の措置を取っているという。

 農水省は長期的には子牛を輸入するなどして国内での生乳の生産量を上げる方針。今後、生乳の生産量の回復に伴って、国産バターなどの生産も増加するとみられる。

 農水省は毎年1月に輸入可能な量を設定している。さらに追加輸入するかどうかは、5月と9月に判断する。