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「開かれた政治」の第一歩? オランダの各市役所で1月第1木曜日に開かれる「新年会」とは (2/4ページ)

ステレンフェルト幸子

 「予約不要・誰でも歓迎・飲み食べ放題・完全無料」で色々な人とわいわい飲めるこの新年会はどこの市民にも好意的に受け取られているようで、「税金の無駄遣いとは言われないのか?」という筆者の疑問にオランダ人は口をそろえて「むしろ市民への税金の還元だし、色々な人と会ったり、忌憚のない生の市民の意見を議会のメンバーとカジュアルに語り合う場として意義がある」と応える。

 オランダ南部・国境の街ルールモント

 今年筆者は、オランダ南部にある中規模の市・ルールモントの新年会に参加してみた。

 ルールモント市は歴史的に何世紀も周辺エリアの商業の中心地として栄えてきたが、2001年にヨーロッパ最大級のデザイナーアウトレット(マッカーサーグレン・デザイナーズ・アウトレット)がオープンして経済が再ブーストを果たしてからは、その他ビジネスもアグレッシブに誘致している。フランスを源流にオランダ・ベルギーを経由し、運河でドイツのライン川につながる欧州でも主要な河川のひとつ・マース川沿いに位置するが、その恵まれた地理的条件が仇となり、16世紀には80年戦争勃発のきっかけを作ったり、第二次世界大戦中にはドイツ軍に占領され街の90%が破壊・破損されたりと波乱万丈な歴史を歩んだ街だ。

 ドイツとベルギーの国境に挟まれ、市民の多くがオープンマインドでオランダ語の他に流暢なドイツ語と英語(と、人によってはフランス語)を話すという文化的な条件も国際的ビジネスに適していると目され、現在急成長中の自治体である。

 ルールモント市の新年会は

 ルールモント市の新年会は、その記録を14世紀以前までさかのぼることができる歴史的な市庁舎で行われた。

 入り口をくぐると、まずはピエール・カウパース(地元出身でアムステルダム中央駅の駅舎をデザインした建築家)とマリア・テレジアがお出迎え(関係者ボランティアのコスプレ)。

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