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どうなる雄安新区 「千年大計・国家大事」広域首都圏の形成を目指す 

 「千年大計・国家大事」として、2017年に発表された壮大なプロジェクト「雄安新区」。1980年代は深セン、90年代は浦東、そして21世紀は雄安が開発の中心になるというから、何としても現地を見ておきたい。といってもまだ、誰でもが行けるというわけではない。中国外務省に頼み込んで、担当者に引率されてのバス旅行となった。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 場所は北京市の南方100キロ余り、河北省保定市の雄県・容城県・安新県の3県および周辺部分にある。なぜこんな辺鄙(へんぴ)な場所に開発区を設けるか、疑問だった。深センや浦東と違って海からも遠い。だが、雄安新区は北京、天津とほぼ正三角形を成す地点にあり、広域首都圏の形成を目指すとの説明を聞いて、合点がいった。

 いま北京南郊に大規模な新空港が建設されているが、ここからはわずか55キロの近さにある。北京と雄安新区を結ぶ高速鉄道と高速道路も新たに建設される予定という。高速鉄道は2022年には完成するというから、交通の不便さは一挙に解消される。

 深センや浦東では開発が始まってから数年もたてば、高層ビルがあちこちに建てられていった。ところが雄安新区にいまあるのは、マンションの「モデルルーム」のようなものだけである。展示館、行政サービス館、会議施設、商業施設、住宅などが整然と立ち並んでいるが、いずれも2~3階建てで、10年後には取り壊される。

 どうやら深センや浦東とは全く違う開発の仕方になるようだ。人口は抑制気味にし、深センや浦東のようなにぎやかさはあえて求めない。第1段階では100平方キロメートルの地域に、せいぜい200万~250万人の人口を想定している。北京の非首都機能を雄安新区に持ってくることになるが、人口の流入には歯止めをかけるという。

 環境にも十分に配慮する。既に電気自動車(EV)の自動運転の試験が行われていた。木々には小さなタグがぶら下げられていて、それを読み込めば植樹時期などの情報が得られる。無人コンビニも一軒、稼働していた。産業は次世代通信規格「5G」、ビッグデータ、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)などIT・ネット関係が中心になるようだ。

 現段階では正直なところ、どこまで発展するかのイメージは湧きにくい。とにかく千年の大計なので、「急がず、腰を据えて、時間をかけて、何世代かにわたって」建設を進めていくのだという。

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