【揺れる森林大国】(下)改革の波、成長産業化狙う 人工林50年、伐採の適齢期 (2/2ページ)

住友林業が計画する高さ350メートルの超高層木造建築の完成イメージ(同社提供)
住友林業が計画する高さ350メートルの超高層木造建築の完成イメージ(同社提供)【拡大】

中高層建築に期待

 ただ、国内林業は生産コストの高さという大きな問題も抱えている。

 地形などの条件が似ているオーストリアと比較した場合、1立方メートル当たりの生産コストはオーストリアで2400円から5500円だが、日本は5600円から9000円。丸太価格のコスト構造を林野庁が分析したところ、切った木を林道まで運ぶ伐出コストや流通コストが重荷となっており、林道整備が急務といえる。

 コスト削減のためには、中高層建築での木材利用による需要拡大も有効だ。

 住友林業は41年に都心で高さ350メートルの木造超高層ビルを建築する計画を進めている。住宅だけでなく、木造の中高層建築が増えれば木材需要が喚起され、生産コストの削減が図れる。また、近年はスギの合板など国産材の利用が増え、自給率も36%(17年)まで戻った。

 林野庁の本郷浩二次長は「(林業でも)少しずつお金が回るようになってきた」と話す。打つべき政策は見えてきている。