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地価上昇 過熱感、年後半に転換期も

 地価上昇が全国に広がる中、市場の過熱感を指摘する声も出ている。東京23区のマンション平均価格は過去最高の水準で、東京都心のオフィス賃料については今夏以降にピークになるとも見込まれる。国土交通省は実需の強さを理由にバブルを否定するが、地価動向の転換期が近づきつつある可能性もありそうだ。

 リスク要因の高まりが指摘される代表格は都心のマンション市場だ。昨年の東京23区のマンション平均価格は7142万円まで上昇。不動産経済研究所(東京)は「一般世帯で購入できる価格ではない」とし、価格引き下げが余儀なくされると予測する。

 東京・晴海の五輪・パラリンピックの選手村跡地プロジェクト「晴海フラッグ」も不確定要素だ。不動産大手各社の参画で大会後に選手村の宿泊棟をマンションに改修する事業で、早ければ5月にも販売が始まるが、東京23区の年間発売戸数のほぼ4分の1に相当する約4000戸という大量供給のインパクトは大きい。しかも晴海フラッグはもともとが都有地のため用地取得費用が安く、販売価格は相場よりも1~2割安くなると想定される。人気が集中すれば他のマンションの売れ行きにも影響が出て市場が混乱し、マンション相場の引き下げにつながる可能性が高い。

 オフィス市場の需給関係にも変化が出てきそうだ。不動産仲介のシービーアールイー(東京)の鈴木孝一シニアディレクターは「7~9月に東京都心の新規オフィス賃料はピークを迎え、下落に転じる」と予測する。東京・虎ノ門などでのオフィスの大量供給で、空室率が上昇する可能性があるためだ。

 景気面での懸念もくすぶる。好調な企業業績は米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題などで、先行きは不透明。10月の消費税率引き上げも、景気にとっては不安要素だ。

 国土交通省は地価上昇について「転売目的の取引が多かったバブル期と違い、経済活動の裏付けのある上昇」と強調する。しかし今後もこの傾向が続くかどうかは、今年後半に重要な局面を迎えそうだ。(平尾孝、大坪玲央)

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