11年半ぶり逆イールド発生で強まる景気後退懸念 過去には…? (1/2ページ)

2万1000円を割った日経平均株価を示すボード=25日午前、東京都中央区(納冨康撮影)
2万1000円を割った日経平均株価を示すボード=25日午前、東京都中央区(納冨康撮影)【拡大】

 東京株式市場が25日急落したのは米債券市場で長期金利の指標となる米国債10年物の利回りが3カ月物を11年半ぶりに下回る長短金利の逆転現象「逆イールド」が起きたことがきっかけだ。歴史的に景気後退の予兆とされ、過去30年で3回あった後退局面でいずれも発生した。世界経済の先行き不安が強まり市場関係者の混乱に拍車がかかっている。(田辺裕晶)

 金利は一般的に貸し出しから返済までの期間が長いほど貸し倒れリスクが大きくなるため、高くなる。これに対し、短期金利が長期より高くなり、長短期の金利をつないで描く利回り曲線(イールドカーブ)が通常と比べ逆転する「異常事態」を逆イールドという。

 原理はこうだ。好景気が終盤に差し掛かると中央銀行は過熱感が出るのを防ぐため短期の金利を引き上げようとする。ただ、投資家は将来の景気後退に伴う金融緩和を見込んで償還期間の長い国債を買うため長期の金利が低下(価格は上昇)し、短期が長期を上回ることがある。

 22日の米債券市場では、2007年8月以来の逆イールドが発生。実は昨年12月3日にも米国債5年物と2年物の金利逆転が起きているが、今回は伝統的に長期金利の指標となる10年物の利回りが3カ月物を下回ったため、市場関係者の動揺を招いた。

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