メルク、MS薬12%値上げ 年10万ドル近くに設定

 ドイツの製薬会社メルクは2019年、多発性硬化症(MS)治療薬「レビフ」の価格を12%引き上げ、年10万ドル(約1110万円)近くに設定した。20年前に投入されたレビフの有効性は新薬に劣ることが臨床試験で示されている。

 スイスのロシュ・ホールディングのMS抗体薬「オクレバス」は、臨床試験でレビフに勝る効果を示したが、値上げ後のレビフの米国内価格はオクレバスより50%余り高い。ただ米国の医薬品の定価は交渉後の値引きを考慮していないため、実際の価格差は恐らくそれより小幅だ。こうした値引きは公表されていない。

 既存品の値上げは製薬業界ではよくあることだが、MS治療薬は特に物議を醸している。最近まで製薬会社は従来品を年2回値上げすることが多かった。服用中の患者が再発を回避しているとみられる場合、医師は薬の変更に消極的だ。

 一方、メルクと競合する会社は定価と値引き後の価格の差を縮小させようとしている。ロシュはオクレバスの価格を投入時にレビフより約25%低い水準に設定。スイスのノバルティスは新薬について、既存品より低い価格にした。メルクは発表資料でレビフの定価について「通常支払われる価格を反映していない」と説明した。(ブルームバーグ Naomi Kresge)