海外情勢

中国、報復措置に限界 米国債売却など強硬意見も

 米国が中国製品への第4弾の制裁措置を公表したことを受け、中国は新たな報復措置の検討を始めた。中国による米製品の輸入額は、米国の中国からの輸入額よりもはるかに少ないため、これまでのような追加関税による報復は限界に達している。中国の専門家からは米国債売却などを「切り札」に使うべきだとの強硬意見が出始めている。

 中国人民大国際関係学院の金燦栄副院長は「中国には3つの切り札がある」と指摘。1つはレアアース(希土類)の禁輸措置で、かつて日本との外交関係が悪化したときにも使った手法だ。レアアースは半導体などの先端部品に必要不可欠で、米産業に打撃を与えられるとした。

 次は大量に保有する米国債の売却だ。米国債を大量に売れば、金利上昇を通じて米経済に打撃を与えることができるとの考えだ。さらにアップルやゼネラル・モーターズ(GM)など中国で活動する米企業に制裁を加える可能性も指摘した。

 「米国の農産物やエネルギーの購入をやめ、米ボーイングへの発注も減らすかもしれない」。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は13日、予想される報復をツイッターに投稿。その直後にボーイング株は急落した。中国では国有企業がこれらの品目の主な買い手であるため、税率引き上げにとどまらず、購入自体を中止することも容易だ。

 米国への旅行制限や、輸入品への検査厳格化なども検討するとみられる。いずれも韓国などに実施した先例がある。

 ただ、こうした措置は中国にもダメージを与えるもろ刃の剣となりかねない。特に米国債の売却は金融市場の混乱を引き起こす恐れがあり、副作用は計り知れない。国内からも「禁じ手だ」との反論が上がっている。(北京 共同)

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