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今世紀後半に「脱炭素」 政府、温暖化戦略決定 石炭火力は利用継続

 政府は11日、地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」に基づく長期戦略を閣議決定した。今世紀後半のできるだけ早期に温室効果ガスを出さない「脱炭素社会」を目指すと先進7カ国で初めて宣言。再生可能エネルギーの主力電源化や二酸化炭素(CO2)再利用技術の開発などの具体策も盛り込んだが、実用化が見通せない技術もあり、実効性の面で課題を残した。

 戦略は技術革新によって「環境と成長の好循環」を実現すると強調。エネルギー起源のCO2削減に向け、再生エネの主力電源化や燃料電池車の普及などを通じた水素社会実現のほか、火力発電所などから排出されるCO2を回収・再利用する技術の実用化を進めるとした。

 金融機関が技術革新を後押しする国際的な資金循環の仕組みを構築するほか、日本の技術力を生かした新ビジネスで世界のCO2削減に貢献すると明記した。

 ただ意見が割れる分野ではあいまいな表現も目立った。CO2排出量の多い石炭火力発電は「依存度を可能な限り下げる」の表現にとどまり、原子力発電所は再稼働を進めるとする一方、「可能な限り依存度を低減」とも記した。

 戦略の軸に据えた技術開発の進展も見通せない。水素普及には価格を現在の5分の1以下に引き下げる必要があり、CO2の再利用拡大も結合させる水素の普及が前提だ。閣議後会見で原田義昭環境相は「(取り組みは)道半ば。さらに政策を加速する必要がある」と述べた。(佐久間修志)

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