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ブルネイ 資源依存脱却へ観光業に注力

 ブルネイは、ボルネオ島北岸の小国で三重県ほどの面積に40万人余りが暮らしている。石油や天然ガスなどの天然資源が豊富なことから、2018年の1人当たり名目国内総生産(GDP)は3万2414ドル(約348万6500円)で、東南アジアではシンガポールに次ぐ高所得国である。資源輸出による収入を原資に、教育費や医療費は無料となっており、所得税や消費税も存在しない。

 オイルマネーで潤う半面、GDPの半分以上を占める輸出の9割以上を石油と天然ガスが占めるため、これらの国際価格の変動がブルネイ経済を大きく左右する。リーマン・ショック直後の08、09年の後、近年でも13~16年や18年は、原油価格の下落などを受けてマイナス成長となっている。長期的にみても天然資源の枯渇が懸念され、ブルネイ政府は、国家戦略である「ブルネイ・ビジョン2035」において、資源依存からの脱却と、持続可能な経済力の獲得を掲げている。

 この中でブルネイが力を入れる一つに観光業がある。熱帯に位置し、国土の大部分に熱帯雨林が広がることから、リゾート客の拡大が期待されている。日本との間では、今年3月に国営ロイヤルブルネイ航空が首都バンダルスリブガワンと成田を結ぶ直行便を就航し、6月には週3便から4便へと増便した。東アジアの中国や韓国、台湾、同じ英連邦の英国や豪州などとの間にも直行便が就航している。GDPに占める観光産業の規模は、いまだ数%ほどだが、ブルネイは経済水準が高く治安も安定していることから、各国からの観光客が今後増加することが見込まれる。(編集協力=日本政策投資銀行)

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