海外情勢

タイ親軍政権、基盤固め着々 月内にも組閣、懸念少ない議会運営 (1/3ページ)

 軍事クーデターの後、5年余り続いたタイの軍政が6月中にも幕を下ろそうとしている。支持を表明する親軍政党「国民国家の力党」が計19党による多数派工作に成功。国会での首相指名選挙で勝利し、ワチラロンコン国王が承認をしたためだ。月内にも組閣を終え、晴れて「民政復帰」の新内閣がスタートする。新政権に不安材料や弱点はないのかを検証した。

 数々の布石

 2017年の新憲法制定に基づく経過措置として、上下両院の合同会議で選出されたプラユット新首相(前暫定首相)。非議員を首相に選ぶための要件である上下全議員(総定数750)の3分の2のちょうど500票を得て、24年ぶりとなる非民選首相に就任した。

 軍政が事実上選出した上院(定数250)は、全議席が軍の息のかかった関係者だ。一方、民選で定数500の下院総選挙では、タクシン派のタイ貢献党が単独政党として最多議席を獲得し、連立与党が占めるのは過半数をわずかに超えた程度にすぎない。

 このため下院の議席数だけを見れば、「薄氷の勝利」「脆弱(ぜいじゃく)な政権基盤」との安易な印象を受けがちだ。だが、政権率いる国民国家の力党のスポークスマンは「選挙違反が事実上野放しになっているこの国で、(タイ貢献党などの)ポピュリズム政党に選挙で勝つのは現状ではまずありえない」と解説し、結果は織り込み済みだったと強調。そして実際に軍政は予防線を幾重にも張り、布石を打ってきた。

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