経済インサイド

親日国バングラデシュに熱視線 米中貿易摩擦も追い風 (2/3ページ)

 バングラは比較的労働コストが安く、若い労働人口も多い。日本政府関係者は「現地では、米中摩擦の長期化を予想し、中国からの生産移管の動きが増えている」と話す。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、18年時点の進出日本企業数は260社で、09年に比べ3.7倍に増えた。中でもホンダは二輪車販売が好調で、昨年11月、現地法人が二輪車の新工場を稼働し、順次増産する計画だ。ロート製薬もリップクリームや洗顔用品が人気で、YKKグループも研究開発拠点の新設を検討している。

 バングラは親日国で、日本製品への信頼が高いが、インフラの未整備や工業団地不足が進出のネックだった。住友商事は工業団地の整備で安全面確保に加え、輸出入手続きや会社登記などのワンストップサービスの提供で日系企業の進出を後押しする。

 人口構成が若いだけに、バングラ政府にとって、若者の雇用創出は最大の課題で、今後約100カ所の工業団地を整備し、1000万人の雇用創出を目指したい考えだ。バングラは早ければ24年にも後発開発途上国(LDC)から完全卒業する見通しで、主力の繊維事業の一本足打法から脱却し、産業多角化をてこに先進国入りを目指す考えだ。

 日本政府にとっても、中東からのエネルギー輸送ルートの確保など、バングラ周辺の南西アジアの安全保障は重要課題だ。

 バングラは、巨大経済圏構想「一帯一路」を進める中国とこれに反発するインドの2大大国の間で微妙な外交のかじ取りを迫られており、日本への期待は大きい。

 日本政府は、中国のベンガル湾での港湾拡張などを牽制する意味合いもあり、港湾などインフラ整備による経済協力を強化している。

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