現場の風

働き方改革、負の側面に配慮必要 社会保険労務士・大槻智之さん (1/2ページ)

 --政府が推進する「働き方改革」をどう評価する

 「6月に閣議決定された骨太方針や成長戦略、規制改革実施計画でも、雇用や働き方に関する項目が打ち出された。いろいろと努力していると思うが、負の側面にもっと目を向けてほしい。例えば、同じ企業で有期雇用契約で5年以上働くと労働者の申し出で無期雇用契約に転換できるルールがあるが、権利が発生する直前に企業が雇い止めをする問題が起きている。この5年ルールがなければ、雇用契約は延長されていた可能性が高かった」

 --骨太方針には就職氷河期世代への支援策を盛り込み、3年間で正規雇用者を30万人増やす目標を掲げた

 「施策の方向性の一つに『相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援』としているが、こうしたやり方で正規雇用化を進めるのは容易ではない。直接的な支援だけでなく、派遣社員から正規雇用化を図るマッチング機能も実態に合わせて見直し、てこ入れを図るべきだ」

 --最低賃金については「より早期に全国加重平均が1000円になることを目指す」としている

 「引き上げペースが加速すれば労働者の所得向上を促す半面、体力の乏しい中小企業の経営は圧迫される。特に、最低賃金ギリギリで労働者を雇うことで利益を出していた企業は一段と苦しくなる。人手確保が困難で事業継続に支障が生じたり、人件費増大が収益悪化を招いたりして、人手不足関連の倒産が増加する恐れもある」

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