国内

商業捕鯨、再開から1週間 漁は好調も販路開拓手探り

 日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退に伴う商業捕鯨の再開から8日で1週間。日本小型捕鯨協会によると、北海道釧路港を最初の基地として始まった沿岸操業では7日までに計12頭のミンククジラが水揚げされた。各地に出荷され、漁や売れ行きは好調だが、新たな販売ルートの確保や収益拡大のめどは立っておらず手探りが続く。

 沿岸操業では6業者5隻の小型捕鯨船が釧路沖での共同操業を7日で一時終了。今後は千葉県の南房総沖や宮城県の鮎川沖などに分散してそれぞれツチクジラ漁をする。5隻は9月に再び釧路に集結して、10月末まで共同でミンククジラを捕獲する。

 山口県下関市を基地とする沖合操業は、共同船舶(東京)の船団が4日から愛知県南方の海域で漁を始め、7日までにニタリクジラ3頭を捕獲。7月末に宮城県で最初の水揚げをする予定だ。

 釧路港で水揚げされた鯨肉は青森県や宮城県、和歌山県などにも流通した。調査捕鯨時に比べ、高値で取引されたケースも。釧路魚市場の職員、本村慎一さん(51)は「今後は値段が少し下がりそうだ。消費者が買いやすくなってほしい」と話した。

 商業捕鯨では船上ですぐに血抜きができ、肉の鮮度の良さが期待される。釧路市内で刺し身などを提供する居酒屋「酒膳処ちくぜん」の横山浩料理長(71)は「肉質が柔らかく最高」と語る。

 調査捕鯨とは異なり、商業捕鯨ではクジラが多くいる海域で漁ができ、より大きな個体を選別して捕獲できる。反捕鯨団体の目立った妨害行為はなく、日本小型捕鯨協会の貝良文会長(59)は「限られた日数の中で十分な量を捕獲できた」と話した。

 一方、本年度までは国からの補助金が出るが、水産庁は捕鯨業者の自立を求めており、来年度以降の補助金は不透明だ。沿岸操業では調査捕鯨と同様に捕鯨業者の団体が主力のミンククジラの販売を担うが、採算は見通せない。貝会長は「新たな販路の拡大や経費節減などを模索する必要がある。若者や今までクジラになじみのなかった地域の人にも食べてもらいたい」と明かした。

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