高論卓説

日本版GAFAは生まれるか 実現の鍵は外国人向け学びの機会 (1/2ページ)

 GAFA(ガーファ)は、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムを指す造語だ。米IT4社の売上高の合計はこの10年で7倍にも成長し、米国をはじめ世界経済を引っ張っている。

 そんな4社の創業者たちは、みな移民系という点で実は共通する。グーグルの創業者、セルゲイ・ブリン氏はロシア系移民1世であり、アップルのスティーブ・ジョブズ氏はシリア系移民2世として知られ、フェイスブックの創設者の一人、エドゥアルド・サベリン氏はブラジル系移民1世、アマゾンのジェフ・ベゾス氏はキューバ系移民2世(母親の再婚相手がキューバ系)だ。

 イギリス系、フランス系、ドイツ系、オランダ系の米国人ではない。何より、特別に裕福な家庭の出身でもない。

 改正出入国管理法(入管法)が4月に施行され、就労を目的とした在留資格「特定技能」が新設された日本。聖域とされてきた単純労働を外国人に開放したが、日本でも同じことは起こるのか。

 日本で働く外国人は、約146万人(2018年10月、アルバイト学生なども含む)。この10年間で約100万人も増加した。意外に思われるかもしれないが、大卒など高学歴の外国人にとって、わが国は既に労働市場が開かれた国の一つである。

 日本の大学や専門学校、あるいは自国の大学を卒業していれば、日本でホワイトカラーとして働くことは容易なのだ(単純労働には就けない)。

 高学歴者ということは、大半は富裕層の子女である。これに対し、長時間労働などで何かと問題が多い技能実習生もそうだったが、今回の特定技能の外国人労働者は、富裕層出身ではない。幼少時から艱難辛苦(かんなんしんく)を経験し、海を渡り日本にやって来る人たちだ。

 現在NHKがBSで再放送している、30年以上前の連続ドラマ「おしん」とも人物像が重なる。おしんは、奉公先の大女将(おかみ)から読み・書き・そろばん、そしてビジネスにとって最も重要な“商売道”をたたき込まれる。このときの学びを元にやがて事業を起こしていくが、同じ道を歩む外国人労働者も現れていくはず。アジアから来たおしんにより、日本人の雇用も広がっていく。

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