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米、月末の利下げ強まる FRB議長「貿易摩擦が重荷」

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が10日、下院金融委員会で証言した。パウエル氏は、貿易摩擦や世界経済の成長鈍化が「(米景気の)先行きに重荷となっている」と指摘。景気拡大を「確かなものにする」と述べ、月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切る可能性を示唆した。

 パウエル氏は米中の貿易協議再開を歓迎する一方、「この数カ月で不確実性が高まった」と言及。貿易摩擦が長引いて企業の景況感が悪化し、「世界で製造業関連の貿易や投資が弱まった」と警戒感を示した。

 また、景気拡大や良好な雇用を持続させるため、先回りして対応する姿勢を強調。「FOMC参加者の多くが金融緩和策を実施する根拠が強まったと考えている」と述べ、30、31両日に開くFOMCで利下げを決める準備があるとの認識をにじませた。ただし「(月末まで)3週間の経済指標を注視する」とし、景気を見極める構えもみせた。

 物価上昇率が目標の2%を下回っていることについて、パウエル氏は「物価低迷が想定以上に長引くリスクがある」と指摘。いったん陥ったデフレに対処する日銀の取り組みは「あまり成功していない」と述べ、FRBは政策を総動員して2%を達成するとした。

 パウエル氏の証言後、市場では月末にFRBが利下げするとの見方が強まっている。利下げを決めれば2008年12月以来、10年7カ月ぶりとなる。

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