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トランプ氏、再選見据え悪影響回避 対中制裁関税一部延期 完全撤回求める声も

 トランプ米政権が対中制裁関税「第4弾」の一部を延期したのは、来年の大統領選を見据えるトランプ大統領が年末商戦に冷や水を浴びせかねない関税の悪影響回避を優先したためだ。産業界からは延期を歓迎する声が上がってはいるが、関税の計画自体を撤回するよう求める声も根強い。

 中国からの輸入品に10%の関税が上乗せされれば、米輸入業者が関税分を価格転嫁し、米国内での販売価格が上がるおそれがある。今回の一部延期は、11月下旬からクリスマスにかけて販売が盛り上がるデジタル家電などを制裁対象から外し、米国の国内総生産(GDP)の約7割に相当する個人消費への打撃を避けることが狙いだ。

 来年の大統領選挙での再選を目指すトランプ氏は、関税が国内景気に及ぼす痛みに目配りしながら、中国との長期戦を乗り切る構え。米経済界を代表する米商工会議所は13日、「喜ばしいニュースだ」との声明を発表してトランプ政権の判断を歓迎した。

 ただし今回の措置はあくまで発動の延期であって、発動を取りやめたわけではない。中国からの輸入比率が高い靴や衣料品の業界で作る米アパレル・履物協会は「トランプ政権は、すべての米国人が使う消費財に関税を課す破壊的な計画をなおも維持している」と強調。また電気機器の業界団体である全米民生技術協会も「有害な関税を恒久的に取りやめ、別の方法を探るべきだ」としている。(ワシントン 塩原永久)

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