海外情勢

ポル・ポト派ナンバー2死去 ヌオン・チア元議長、98歳

 カンボジアで1970年代後半、虐殺などで200万人近くの国民を死に追いやったとされるポル・ポト政権のナンバー2だったヌオン・チア元人民代表議会議長が4日、プノンペン市内の病院で死去した。93歳だった。家族らが明らかにした。元ポト派幹部を裁く特別法廷の被告として裁判が続いていた。

 ポト派の理論的指導者とされ、派内では98年に死去した故ポル・ポト元首相に次ぐ地位にあった。国連とカンボジアが設置した特別法廷に2007年9月に逮捕され、人道に対する罪や大量虐殺罪などで起訴された。14年8月、人道に対する罪を審理する裁判の一審で終身刑を言い渡され、16年11月の二審判決で刑が確定。18年11月には大量虐殺罪を審理する別の裁判の一審でも終身刑を言い渡され、控訴していた。

 存命の元ポト派最高幹部はキュー・サムファン元国家幹部会議長のみとなり、大虐殺の真相究明はさらに困難になった。

 1926年カンボジア西部バタンバン州生まれ。第二次大戦中にタイで教育を受け、タイ共産党に入党。帰国後フランスからの独立運動に加わり、カンボジア共産党創設に参加した。75~79年のポル・ポト政権時代、知識人虐殺や都市住民の農村への強制移住に関わったとされる。

 表立った活動をすることはなく、98年12月にポト派幹部として最後にフン・セン政権に投降するまで、ほとんど公に姿を現さなかった。投降から特別法廷に逮捕されるまでは北西部パイリンで暮らし「祖国を侵略から守るためやむを得なかった」とポト派の政策の正当性を主張。公判でも、多数の国民の死亡は「(ポト政権以前の)米軍による爆撃やベトナムの仕業」と述べていた。約1カ月前に体調を崩し、特別法廷の収容施設から病院に移送されていた。(プノンペン 共同)

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