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泥沼化する米中摩擦 世界経済の先行きに不透明感 

 米中貿易摩擦が泥沼化している。中国政府は23日に第4弾の報復関税を発表し、対抗措置としてトランプ米大統領も同日、制裁関税の引き上げを表明。トランプ氏と中国の習近平国家主席は6月の会談で、対立の解決に向け協議の継続で一致していたが、再び制裁の応酬となっており、打開策は見いだせていない。米中摩擦の激化を懸念し同日の米株式市場が急落するなど、世界経済の先行きは不透明感を増している。

 23日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、前日比623・34ドル安の2万5628・90ドルで取引を終えた。下げ幅は一時700ドルを超えた。また、ニューヨーク外国為替市場の円相場は相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となり、1ドル=105円前半に急伸。日本の輸出企業の収益悪化が懸念される。

 トランプ大統領は23日、中国で事業を展開する米企業に対し、中国からの事業撤退を要求。中国で幅広く事業を展開する企業には痛手で、取引先も含めれば、影響が世界的に広がる可能性がある。全米小売連盟は「世界第2位の経済大国(の中国)からの撤退は非現実的だ」と反対した。

 こうしたなか、米中貿易摩擦の影響は日本経済にも及んでいる。7月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2496億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。米中摩擦に伴う中国経済の減速を受け、中国向け輸出が前年同月比で9・3%減少したことが響いた。

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