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「1ドル100円割れ」でも、まったく驚かない理由 「異常な円高」ごく短期 (2/4ページ)

 わが国の金融政策は事実上の限界に直面

 米金利低下の大きな要因は景気の減速(GDP成長率の低下)だ。2018年7~9月期の米実質GDP成長率は前期比年率ベースで3.5%だった。その後、浮き沈みはあるものの、米国経済の成長率は鈍化している。

 特に、米国の景気循環に大きな影響を与える企業の設備投資は低下基調だ。設備投資が伸びていないということは、米国経済全体での資金需要が低下していることを示唆する。資金需要が伸びないと、お金のレンタル料である金利には低下圧力がかかりやすい。

 加えて、7月末、FRB(連邦準備理事会)が利下げを行った。FRBは米中の貿易摩擦の影響などが先行きの不確実性(リスク)を高めていると警戒し、予防的利下げを実施した。

 一方、わが国の金融政策は事実上の限界に直面している。日銀がこれ以上の金融緩和を進めることは難しい。この結果、日米の金利差縮小と米国経済の先行き懸念からリスクを削減する(リスクオフに動く)投資家が増え、円が買い戻されている。

 米国は18~21カ月後に「景気後退局面」を迎える恐れ

 8月に入り、米国の国債流通市場では、10年国債の利回り(長期金利)の水準が、金融政策の動向を反映しやすい2年国債の利回りを下回った(長短金利逆転)。

 短期よりも長期の金利水準が低くなるということは、今すぐではないにせよ、近い将来、米国が景気後退局面を迎えるとの懸念が高まっていることを示している。過去の展開を振り返ると、長短の金利が逆転してから18~21カ月たつと、米国は景気後退局面を迎えている。

 景気後退への懸念が高まる状況下、多くの投資家はリスクオフに動く。今後の動向次第では、これまで以上のマグニチュードで円キャリートレードの巻き戻しが進む可能性も排除できない。米国の長短金利が逆転したことは軽視できない変化だ。

 今後の米国経済の動向を考えた時、GDPの70%程度を占める個人消費の動向は重要だ。足元、米国の個人消費は相応に好調だ。米国の労働市場では人手不足が深刻化している。それを反映して、賃金は緩やかに上昇している。それが、個人消費を支えている。旺盛な個人消費が設備投資減少のマグニチュードを緩和し、米国経済は相応の安定感を維持していると考えられる。それが、世界経済全体を支えている。

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