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チベット人亡命の地、甘酸っぱい紅茶が名物

 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が暮らすチベット人の亡命の地、インド北部ダラムサラで、名物になっている飲み物がある。紅茶にレモン汁、ショウガ、蜂蜜を加えた「レモンジンジャーハニーティー」で、甘酸っぱくて体が温まる。なぜダラムサラで広まったのか、発祥には諸説ある。

 ダラムサラでも亡命者が多いマクロードガンジ地区。標高2000メートル前後の高地にあり、冬場は冷え込みが厳しい。1971年創業の「ホテルチベット」のレストラン責任者、ラクパさんは「このレストランが始まりだ」と誇らしげに語った。「もともとホットレモンを提供していたが、ホテルの経営者がお客さんに温まってほしいと考え、16年ほど前にショウガを加えることを提案した」という。

 しかし別のホテルで働いていた男性は、自分のホテルで90年代後半からレストランのメニューに載っていたと主張。さらに別のホテルの女性従業員は「70年代に旅行に来たヒッピーが広めたはず。ケーキもヒッピーがチベット人に紹介した」と異を唱えた。ダラムサラを旅行中のイスラエル人女性は「子供の頃から飲んでいる。発祥の地なんてないんじゃない?」と話し、ダラムサラ発祥との見方を否定。はっきりしたことは分からずじまいだ。

 59年、ダライ・ラマがチベットからインドへ逃れると、多くの人がともに亡命。その後、元来バター茶を好んできたチベット人は、インド名物のミルクティーも飲むようになった。レモンジンジャーハニーティーにとどまらず、チベット人が亡命先で新しい味を受け入れてきたとはいえそうだ。(ダラムサラ 共同)

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