高齢化はビジネスチャンス-。IT先進国のフィンランドでは近年、介護用のデジタル機器を続々開発、世界進出に向け勢いづいている。一方、日本でも自動運転車いすの実証実験を実施。「高齢者市場」を狙う国際競争が激しくなりそうだ。
フィンランド製機器の代表格は薬剤ディスペンサー。処方薬の服用時間になると音声が流れ、1回分の薬が出てくる。飲み忘れ、飲み過ぎを防ぐことができ、既に北欧諸国で広く使われている。また歩いた距離や握力を測ることができる押し車なども登場している。
フィンランド技術研究センターの担当者は「高齢化は世界共通の課題だ。国内で試した後、海外に展開する」と意気込む。
高齢者をターゲットにした開発は日本でも活発に。SOMPOホールディングスが2月、福祉機器の効果や安全性を確かめる実験施設を都内に開設した。介護現場で、これらの機器を活用することを目指す。
タブレット端末に目的地を入力すれば、座っているだけで運んでくれる自動運転の車いすや、高齢者の手の形を読み取り、それぞれが使いやすい形のスプーンやコップを作ることが可能な3Dプリンターなど、メーカーから売り込みがあった。
SOMPOホールディングスの担当者は「移動や見守り、記録などの業務をテクノロジーでカバーすることで、食事や入浴といった人の手が必要な仕事に人材を集中できる」と強調している。(共同)