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駅直結タワマンが「まち」をやがて破壊するワケ 起こりうる3つの問題点 (4/4ページ)

 勝機は「ローテクとライフスタイル」

 では神戸市が今やるべきは何か。それは次の時代の産業集積をどのように目指すのかを決めることです。

 兵庫県内は歴史的にも皮革産業など含めたローテク産業の集積があった地域。私はもう一度、競争の激しいハイテクよりもローテク産業を伸ばしていくべきだと考えます。

 実際、フランスやイタリアの産業として皮革産業は競争力があります。儲からないようなイメージのローテク分野ですが、先日ルイ・ヴィトンなどを保有するLVMHのCEOの総資産がビル・ゲイツを超えるなど、ローテクなブランドビジネスはハイテクに負けません。

 また、世界的にアウトドアブランドなど都市近郊型のライフスタイル産業は成長しています。大都市圏に位置しながら、山と海があるという強みを生かした、食やアウトドアなどライフスタイル産業の集積を追求する戦略も有効でしょう。

 首都圏では都心部とはちがう環境を求めて、海沿いの鎌倉、小田原などをあえて選択して居住し、リモートワークもしくは起業する人が増加しています。新たな産業集積、ライフスタイルの実現を進めた結果、積極的に神戸市を選択してもらえるようになるのが健全な都市発展といえます。

 人口獲得競争が地方都市をさらに疲弊させる

 限られたパイを互いが食い合うために当座しのぎの開発をする。地方の官民が共同して、となりの都市に負けじと短期的な損得にこだわり、将来さらに大きな問題を引き起こすことになるのは、ショッピングモール誘致、産業団地誘致、リゾート開発誘致など、過去に幾度もありました。

 ましてや国内で人口減少することが明らかで空き家があふれる時代に、タワーマンションを建ててまでそこに住む人を地方都市が呼び込み、取り合ったところで意味はありません。

 タワーマンションについては、まだ歴史がないためこれからも議論が続くと思いますが、各都市の状況に対応し、過去の失敗を繰り返さないために適切な政策対応が求められています。

 全国一律で「地方都市にタワーマンションを建てれば活性化する」というのは、単なる幻想にすぎません。

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 木下 斉(きのした・ひとし)

 まちビジネス事業家

 1982年生まれ。高校在学中の2000年に全国商店街合同出資会社の社長に就任。05年早稲田大学政治経済学部卒業後、一橋大学大学院商学研究科修士課程へ進学。07年より全国各地でまち会社へ投資、経営を行う。09年全国のまち会社による事業連携・政策立案組織である一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立、代表理事就任。著書に「地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門」(ダイヤモンド)、「福岡市が地方最強の都市になった理由」(PHP研究所)、「地方創生大全」(東洋経済新報社)、『稼ぐまちが地方を変える』(NHK出版新書)、『まちで闘う方法論』(学芸出版社)などがある。

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 (まちビジネス事業家 木下 斉)(PRESIDENT Online)

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