海外情勢

65歳から培うIT技能 シンガポール、生産性維持へ高齢者教育 (1/2ページ)

 65歳といえば大概の人は、定年を迎えキャリアを終えようとする頃だ。しかし、世界有数の平均余命を誇るシンガポールは、定年と再雇用の年齢の上限を引き上げる方針を打ち出した。同国では労働者が生産性を維持するための新たな技術習得に駆り立てられている。

 業務時間短縮に貢献

 47年間シンガポール・テレコム(シングテル)で働いてきたバレリー・ヨンタンさん(65)もその一人だ。人事部のアドミニストレーターである彼女は、プログラミングについての予備知識はなかったが、スキルアップのためにボット・ビルディングコース(作業の自動処理プロセスを構築するプログラミングのコース)を受講するよう促された。

 ヨンタンさんは「学びのプロセスは生涯にわたるし、頭を働かせておきたい。若い世代の労働者を促してその気にさせたいと思っているし、新しい技術を習得するのにどれだけ経歴を積んだかは関係ないことを示したい」と意気込む。

 ヨンタンさんは4日間の「ボットメーカートレーニング」コースと2日間の「ボットメーカーハッカソン」コースに参加した。どちらもシングテルの主催で、彼女はプログラミングの基本的な専門用語については門外漢だった。ところが今では新たに獲得した技術を、報告書や予算案の作成、その他繰り返される作業の自動化に役立て、1日の業務時間を数時間短縮している。

 シンガポールでは労働人口の高齢化に伴い生産性が落ちてきており、労働者にはデジタル世界に対応する新たな技術の獲得が奨励されている。

 人材開発省直轄で雇用促進を目指す「ワークフォース・シンガポール(WSG)」や、生涯教育・技術取得のための「スキルズフューチャー・シンガポール(未来のスキル)」といった機関は、労働者による新たな技術の習得と就職を支援する多くのプログラムを運営している。昨年、政府認可の訓練コースへの補助金に当たるスキルズフューチャー・クレジットを活用したシンガポール人の数は43万1000人と、17年の28万5000人から大幅に増えている。

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