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後期高齢者の医療費改革を 財務省分科会、社保費抑制へ提案

 財務省は9日、有識者でつくる財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、急増する社会保障費の抑制に向けた改革案を示した。「将来世代に負担を先送りしている」として給付と負担の見直しを提言。介護サービスの利用者負担増や、後期高齢者の医療費改革などを求めた。

 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める2022年以降には社会保障費のさらなる増加が見込まれる一方、保険制度の支え手となる世代は大幅な減少が予測される。財務省は財政健全化を重視する立場から、社会保障改革を検討する政府の新たな会議なども通じて見直しの必要性を訴える構えだ。

 会合では、働いて一定以上の収入がある人の年金を減らす「在職老齢年金制度」について、見直しに慎重論が多く出た。制度は高齢者の就業意欲をそぐとの指摘があり厚労省は見直す方針だが、委員からは根拠がはっきりしないなどの意見が上がったという。

 介護計画の作成やサービスの調整などをする「居宅介護支援」で、利用者負担の導入を求めた。介護サービスの利用者負担を原則1割から2割に引き上げることが必要と指摘し「高齢者間での、利用者負担と保険料負担との均衡を図ることが必要」とした。医療改革では、外来を受診した際の窓口負担に一定額を上乗せする「ワンコイン負担」の導入や、後期高齢者の窓口負担を原則1割から2割に引き上げることなどを今後の検討事項に挙げた。

 薬剤の自己負担引き上げも指摘し、医療分野は今後の分科会で議題とする。

 児童手当では所得基準を見直すよう求めた。例えば主婦と子供2人の場合、現在は世帯主(1人)の年収が960万円を目安に超えなければ支給の対象となるが、夫婦合算で判断する仕組みに変更すべきだと促した。

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